単純ヘルペス (2006.03.23)
単純ヘルペスはよく「かぜのはな」「ねつのはな」といわれたりもしますが、風邪をひくと口唇にブツブツ(小水疱)ができるもので、ヒトヘルペスウィルスI型による感染症です。感染症といっても多くは子供の頃親から子に知らないうちにうつされているようで、その後神経の根元に潜んでいてご主人様の体調が落ちると皮膚に症状を起こすものです。通常は数日くらいできれいに治ってしまいますが、何度も繰り返すのがやっかいなのと、目の回りにできると角膜を障害することもあるので注意が必要です。またアトピー性皮膚炎の人はカポジー水痘様発疹症といって、湿疹の上に急速に広がり発熱を伴ったり重症化しやすいのでいつもと違う発疹が出てきたときにはすぐに皮膚科を受診して下さい。治療としては今は抗ウィルス薬があるので、症状の強さによって外用、内服、重症では入院の上点滴、という選択肢があります。
同じヘルペスでも陰部にできるものがあります。これはヒトヘルペスウィルスII型で顔に出るものの近縁種なのですが、顔に出るI型が陰部に感染することもあります。陰部の場合は性行為感染症ですのでパートナー間での接触でうつります。特に女性の場合には痛みの症状が強く日常生活に支障が出るくらいのこともありますし、出産時に症状があると新生児に感染するので(新生児ヘルペスは児の命に関わることがある)、この場合には帝王切開になります。特に再発を繰り返す陰部ヘルペスの場合には抗ウィルス薬を少量持続的に飲むやり方が日本でも近々認められるそうで、この症状に悩んでいた人には朗報です。それから帯状疱疹はやはりヘルペスですがまた違ったウィルスで症状も経過も異なります。
口唇ヘルペス カポジー水痘様発疹症
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